「業務の見える化」のススメ

 2018.04.26  ビジネスプロセス改革推進室

「業務が見える化されている」という状態は、作業手順や業務プロセスの流れがマニュアルとして明確に存在し、それに伴い業務の問題点がハッキリと把握できる状態を指します。業務改善という観点から考えると見える化はとても重要で、業務が属人化(特定の人しかできない状態)してしまうと生産性が低下し、業務改善どころではなくなってしまいます。

業務改善や問題点抽出など、様々なシーンで業務の見える化は重要です。そこで今回は、見える化のポイントについてご紹介します。

業務の見える化、最初のステップとは?

本稿を読まれている方の多くが、現在の業務内容や手順に問題を感じ見える化を促進したいと考えているかと思います。属人化した業務をマニュアルとして標準にすれば、誰もが簡単に業務を行うための環境を整えることもできるでしょう。

実際に業務標準化の成功例を挙げると大吟醸「獺祭」を製造販売する蔵元、旭酒造が良い例です。日本酒を作るにあたって欠かせないのが長い経験と知識、それと技術を持ち合わせた杜氏(とうじ)の存在です。日本では従来から、高い技術を持つ杜氏無くして良い日本酒は作れないというのが一般認識でした。

しかしこの旭酒造、過去に杜氏に逃げられたという経験を持ちます。その経験から「杜氏無くしても品質の高い大吟醸を作るため」に、日本酒製造プロセスを定量化して新入社員でも高品質な大吟醸製造ができるよう取り組みを始めました。

その結果、旭酒造は杜氏がいなくても高品質な大吟醸の製造に成功し、世界の名立たるコンクールで金賞を受賞し日本を代表する大吟醸として世界に知られています。

参考:「杜氏なしで社員が造る純米大吟醸「獺祭」の伝統と革新

旭酒造の例に習うと業務見える化の最初のステップは既存の業務プロセスを明確にして、定量化することです。定量化とは「一般には質的にしか表せないと考えられている事物を,数量で表そうとすること」です。(「Weblio辞書より引用)

業務とは本来「どれくらり利益に関係しているか」という質的観点で見られることが多いですが、これを数量で表します。「業務量を明確にする」と考えると分かりやすいでしょう。

各業務プロセスや各手順においてどういった業務がどれくらい発生しているか、または頻度はどれくらいかなどを明確していきます。この取り組みが業務見える化の最初のステップです。

業務量を把握するための「業務量調査」

現状業務量がどれくらい発生しているかを把握するためには①実測法、②実績記入法、③推定比率法、④合成法といった方法で調査を行います。 

①実測法

実際の業務量を観測する方法です。主に製造業のライン作業の観測に使われることから、繰返しが多い業務などの測定に向いています。ただし、実測法では観測者が常にいるので、不自然な努力がなされる場合もあります。

②実績記入法

従業員に各作業にかかった時間を実績として記入してもらう方法です。この方法では「業務量」を測定する、という意味を従業員に正しく理解してもらうことで正確なデータを集めることができます。ただし、長時間の測定が必要であったり、業務内容を明確に定義しておかないと「業務量」の範囲が曖昧になってしまうリスクがあります。

③推定比率法

実績を記入するのではなく、業務に関係する従業員や責任者が1日の全体業務時間から逆算して「業務量」を推定するという方法です。この方法のメリットは少ない工数かつ短時間で測定が行えることです。ただし、実績記入ではないので従業員ごとに結果のバラつきがあったり、業務精通者でないと正しく記入できないという注意点はあります。

④合成法

多数の観測結果から特定の業務にかかる「業務量」を予測し、平均値を出す方法です。実際に観測を行わなくても「業務量」を推定できるというメリットがある反面、分析のためのルールやスキルが必要で、測定結果を出すためには多くの工数が必要です。

以上の方法を用いて業務量を調査することで、ひいては業務見える化を行うことができます。

業務の見える化だけで終わらない

業務改善などの取り組みでよくある失敗例が業務を見える化するだけで終わっているという点です。業務見える化は簡単な作業ではないため、完了するまでにそれなりの労力を有します。そのため、業務見える化が完了したことに喜び取り組みがそこで終わってしまうケースが少なくないのです。業務改善や課題解決などの目的はもちろんその先にあるので、見える化だけで終わってはいけません。

こうした失敗を避けるためには事前の計画が欠かせないでしょう。業務見える化が完了した後、どういった基準で改善点を決めて改善に取り組むのか、関係者全員で協議する必要があります。

もう一つ大切なことは収集した情報を整理するためにツールを活用することです。ツールといっても個別にシステムを導入するのではなく、「業務体系表」などのフレームワークを使用します。

<業務体系表の例>

業務体系

業務タイプ

備考

大分類

中分類

1

清掃

1.1

売り場清掃

固定

1日3回実施

1.2

バックヤード清掃

固定

1日2回実施

2

レジ

2.1

レジ清算

変動

 

2.2

レジ備品

補充

固定

 

3

商品補充

3.1

商品

荷受

固定

特定の時間

3.2

商品陳列

変動

 

参考:株式会社日本能率コンサルティング「計画的な業務割当による人時生産性向上

多方面から収集した業務量に関するデータを独自に整理することは難しいのげ現実です。幸いにも業務量をまとめるためのツールは数多く存在するので、最適なものを使用して情報整理を効率化していきましょう。

業務見える化の目的を明確にする

最後に、業務の見える化を行うにおいて最も基本的なことをご紹介します。それが「目的を明確にする」ことです。当たり前過ぎると思うかもしれませんが、実はこの基本ができていないことで失敗するケースが少なくありません。

業務見える化の目的を明確にするということは、何のための見える化なのかをハッキリさせることで。業務改善のためか課題解決のためか、あるいはシステム導入に伴ってなのかなど目的が違えば見える化のプロセスや収集すべき情報も違ってきます。なので目的を明確にすることは基本でありながら非常に大切なポイントです。

今後皆さんが業務の見える化およびそれに伴った業務改善や課題解決に取り組む際は、まず目的の明確化から始めてください。さらに、最終的な目的から逆算して様々なKPIを作成していきます。KPIとは「重要業績評価指標」といって、ゴールに対する中間ポイントのようなものです。

業務見える化に伴う業務改善などが最終ゴールだとすると、定量調査が期日通りに進んでいることなどがKPIとして設定できます。こうしたポイントを駆使して業務の見える化に取り組めば、期待する効果以上のものが手に入るでしょう。

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