業務量の見える化から始める業務効率化

 2018.05.16  ビジネスプロセス改革推進室

業務量の見える化を簡単に説明すると「いつ、誰が、どこで、どんな作業を、どれくらい行っているか」を目に見えてハッキリとさせることです。業務を効率良くするためにこの業務量の見える化が欠かせません。

今回はこの業務量の見える化についてご紹介します。

業務効率を悪くする3つの原因

生産管理の現場では製品のQCD(品質、コスト、納期)を悪くしてしまう原因に「3つのM」があると考えます。それは「ムリ」「ムダ」「ムラ」の3つです。

ムリとは製造ラインにおける無理な作業や、無理な納期を指します。どちらも作業員に大きな負担がかかる問題なので、相対的に品質は低下します。ムダとは主に業務プロセスに生じる無駄のことです。無駄が多いとその分コストもかかるので商品価格を下げることが難しくなります。最後にムラとは従業員間で発生する作業手順のバラツキなどによって品質が下がってしまうことです。

このような生産管理の「ムリ」「ムダ」「ムラ」はそのままデスクワークに置き換えて考えることもできます。

  • ムリ…業務担当者に多くの業務が集中し無理が生じる
  • ムダ…本来不要な業務などが混在している
  • ムラ…担当者がごとに手順が違い生産性にムラがある

以上の「ムリ」「ムダ」「ムラ」はデスクワークにおいて業務効率を悪くし生産性を下げる大きな原因です。逆を言えばこの3つのMを上手く排除できれば、業務効率化が実現することになります。

業務量の見える化とは具体的に何か?

業務量の見える化についてより具体的に説明します。業務の実態を目に見えてハッキリと表すことと理解しても、見える化によってどんなメリットがあるのでしょうか?

メリット①業務の「ムダ」を発見できる

業務量を見える化して実際のビジネス価値に照らし合わせてみると、「この業務はビジネスと何の関係があるのか?」という無駄を発見できます。実は、歴史のある会社ほどこうした業務が存在しています。たとえば10年前までは欠かせない業務であったとしても、現在も必要かどうかというと疑問です。時代が変われば組織も変わり、展開する事業内容やそれに伴って必要な業務も変わるからです。そのため習慣化している業務の中には意外と無駄なものも多かったりします。

メリット②業務の「ムリ」を排除できる

業務量を見える化すると、従業員ごとにどれくらいの負担がかかっているかを把握できます。特定の人に業務負荷が集中していることも少なくありません。これは業務上の無理が発生している状況なので、生産性が大きく低下する原因です。業務の無理を把握できれば業務量を平準化して、無理を排除できます。

メリット③業務の「ムラ」を無くせる

業務手順が従業員ごとに違う環境では業務の質にムラが生じます。たとえばシステムへのデータ入力に際し、従業員Aと従業員Bとでは異なったデータを入力してしまい、システム活用の意義が半減してしまう可能性があるでしょう。業務というのは(特に定型業務)、すべての従業員が同じように作業するからこそ価値が生まれます。こうしたムラを無くせるのも業務の見える化のメリットです。

メリット④新入社員がベテランと同じ仕事ができる

営業など特別な経験やスキルが必要な業務は別として、定型業務などは業務量の見える化によって新入社員もベテランと同じように仕事ができる環境を整えられます。皆さんは旭酒造という酒蔵の業務改善事例をご存知でしょうか?旭酒造が製造する「獺祭」という大吟醸酒は安倍総理がオバマ大統領来日時に贈呈したものとしても有名です。実はこの「獺祭」は酒造のプロフェッショナルである杜氏(とうじ)ではなく一般社員が作っています。それも旭酒造の業務量の見える化による業務改善あってのことです。専門技術が必要な業務においても、業務量の見える化によって新入社員がベテランと同じように仕事ができる良い事例ですね。

参考:「杜氏なしで社員が造る純米大吟醸「獺祭」の伝統と革新

業務量の見える化は単に業務発生頻度を把握するだけでなく、業務プロセスの可視化にもつながります。そのため見える化によって様々なメリットを享受できるのです。

業務量の見える化の方法とは

業務量を目に見えてハッキリと表すためにはまず業務プロセスを明確にします。業務プロセスとは業務の流れと各業務での作業手順および作業内容を表すものです。最初にこれを明確にしないと正しい業務量の調査はできません。

業務プロセスを明確に表すためにはBPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)を活用しましょう。BPMNは国際標準にもなっている業務フロー図作成のためのルールであり、そのルールさえ理解してれば誰もが等しく業務フローを理解できる全体図を作成できます。社内独自の業務フロー図作成のルールを決めるのも良いかもしれませんが、国際標準でもあるBPMNを活用した方が何かと活用できるかと思います。

BPMNにはレベル1とレベル2がりそれぞれ次のように分類されています。

  • レベル1…業務実務者の合意形成や、システム構築者に必要な情報を伝える道具として使用します。数少ない記号と注釈文によって、だれでも簡単に作成できて、分かり易い表記です。
  • レベル2…業務プロセスをBPMシステムなどのITで実現するための設計情報として、業務の統制や例外処理などを記号で表します。使いこなすには、専門的な学習と経験が必要です。

引用:日本ビジネスプロセスマネジメント協会「BPMNとは

レベル1ならば習得するのに時間はかからないので、まずは講習会などを開くBPMNを関係者全員で共有しましょう。

業務フローを定義すればいよいよ業務量を調査に入ります。方法としては①実測法、②実績記入法、③推定比率法、④合成法が主な手段です。 

  1. 実測法…観測者が実際の業務を見ながら業務量を記入していく
  2. 実績記入法…従業員に各作業にかかった時間を実績として記入してもらう
  3. 推定比率法…業務に関係する従業員や責任者が1日の全体業務時間から逆算して業務量を推定する
  4. 合成法…多数の観測結果から特定の業務にかかる業務量を予測し平均値を出す 

業務量を調査する際はいずれか一つの方法を採用するのではなく、2つ以上の方法を採用してより正確な業務量を把握することが大切です。調査対象となる業務によっては時間がかかることもありますが、正確な業務量を把握することが何よりもの成功ポイントになります。

肝心の業務効率化については「無くす」「減らす」「変える」の3視点で考えるとよいでしょう。無くせる業務や作業は極力無くす。無くせないものは無駄な部分を減らす。減らすこともできないものは業務プロセスや作業手順や作業内容変えた対応する。この手順で業務効率化について考えると、より効果の高い施策に取り組めます。

業務量や業務プロセスというのは正確に把握しているつもりで実はできていません。ですので、この機会に改めて業務量と業務プロセスを明確に見える化してみてはいかがでしょうか?それによって業務効率化を実現し、ビジネスを価値をより高めていきましょう。

 

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