業務棚卸表を活用してみた

 2017.11.01  ビジネスプロセス改革推進室

自治体にとっての「業務棚卸」とは、その地域に在住する人々に役所仕事の透明化を行うと共に、一つ一つの事業を評価し、改善するために役立ちます。そうした理由から総務省は各自治体の業務棚卸表活用を促進しており、毎年多くの自治体が活用に取り組んでいます。

今回はその中で、静岡県が活用している業務棚卸表について紹介したいと思います。

業務棚卸表ってどんなもの?

業務棚卸表というのは、組織が日常的に行っている業務を可視化するために、各業務の内容や作業手順などを体系立ててまとめて資料です。

下図は、一般社団法人日本能率協会(JMA)が経済産業省の監修のもと作成した業務棚卸表の一種です。

≪業務体系表≫

業務棚卸表を活用してみた_業務体系表 (1).png

引用:日本能率コンサルティング株式会社「事務の業務効率アップ 事務改善によるコストダウン

この表では、大分類・中分類・小分類と業務を大まかなカテゴリから細かく分けていき、最終的には作業手順に沿ってその業務内容が説明されています。この資料を見れば、業務が何のために存在するのか、どのような作業があるのかなどを把握でき、組織内の業務可視化と改善に役立ちます。

他にも、下表のように日常的に発生する作業を一つ一つ羅列していき、その内容を記していくという業務棚卸表もあります。

詳細業務

業務概要

受付

受付を処理する

申込書類の点検

申込書類を確認し、不備が無いようにする

申込内容の入力

申込書類を確認しつつ内容をシステムに入力する

申込内容の確認

入力した内容に不備がないかを確認する

申込登録

内容に不備がなければ申し込みを確定する

申込完了の連絡

申込完了後、1時間以内に顧客へ連絡する

ファイリング

申込書類をファイリングして、指定の棚に保管する

データの取り込み

システムデータを取り込む

請求データ修正

請求データに不備がないかを確認し、修正する

請求伝票入力

データを請求伝票に入力し、発行する

請求伝票送付

請求伝票を送付先に送る

未入金データ処理

未入金データを処理する

未入金データ問合わせ

未入金データがないかを確認する

請求書の確認

未入金データがあった場合、請求書を確認する

請求内容の申請

請求内容を担当部長に申請する

請求内容の承認

請求内容の承認を得る

入金処理

請求内容に従って入金処理をする

返金処理

必要に応じて返金処理行う

営業データ取り込み

各種営業データをエクセルに取り込む

集計

取り込んだデータの集計を行う

分析

集計データを分析する

資料作成

会議の種類に応じて資料作成する

 

静岡県が活用する業務棚卸表とは

先述のように、業務棚卸表とは特定の資料を指すものではありません。そのフォーマットは各組織によって自由に作成してもいいので、組織の数だけ業務棚卸表があると言ってもいいでしょう。

では、静岡県はどのような業務棚卸表で、地域住民への業務可視化と事業評価を行っているのでしょうか?

≪静岡県が活用する業務棚卸表≫

業務棚卸表を活用してみた_静岡県業務棚卸表.png

引用:静岡県「県民くらし満足度日本一をめざして・・・県庁のしごと改革ニュース

各項目について詳しく説明していきます。

  • ①総合計画の位置づけ - 対象となる仕事が、県の中長期的な取り組みを示して総合計画における、「環境」「安心」「安全」「産業」「交流」「人づくり」「文化・スポーツ」の7つの分野のうち、どこに該当するかを示しています。
  • ②総合計画の目的 - 地域住民と強力して、最終的に実現しようとしている県民生活の姿とそれを表す努力目標です。この目標は総合計画に掲げている「県民の皆さんにどのような効果があったか」という166の指標と(アウトカム指標)なります。
  • ③任務目的 - 総合計画の目的・目標を達成するために仕事をしている室が目指す目的です。
  • ④業務概要 - 任務目的を達成するために、室が行う業務の概要です。
  • ⑤指標 - 総合計画から業務概要まで、目標の達成状況を数値で示しています。
  • ⑥主な手段 - 室の業務概要を構成する主な仕事です。
  • ⑦評価 - 指標は順調に達成しているかどうか、前年度の仕事は効果があったかどうか、ということをまとめています。

これが、静岡県が活用している業務棚卸表の概要です。この資料は、地域住民が閲覧することを想定して作成されているので、「仕事の目的は何か?」「順調に進んでいるか?」「効果はあったか?」といった項目を明確にし、行政に対する安心感を与えるという目的もあります。

このように、組織が変われば業務棚卸表を活用する目的も変わります。従って、企業が業務棚卸表活用に取り組む際は、「何のための業務棚卸表なのか?」ということを明確にし、記載すべき項目について決定しましょう。

行政評価によって仕事のやり方を見直した事例

静岡県は先述した業務棚卸表を活用して、様々な行政を評価しています。評価の結果「改善の余地あり」と判断されたものに関しては、積極的に仕事のやり方を見直しています。

食品衛生室

食中毒や食品の偽装表示といった事件が増えていることから、食品の安全に不安を持つ地域住民が増えていることから、10万にあたりの食中毒者数を減少するため、食品衛生監視のやり方を変更しました。

従来は飲食店や食品を製造・販売する施設を一律に見回り、食品の衛生状態が保たれているかを確認していました。これを、食中毒発生状況の分析結果をもとに、食中毒が発生しやすいところの監視回数を増やし、局所的に食中毒を減少させるというやり方に変更しています。

会社業務の中でも、とにかく均一に作業をするのではなく、弱点となる部分を明確にした上で強化する、という取り組みが大切です。その際はやはり、業務棚卸表によって業務可視化を行うことがまず先決でしょう。

林業振興室

近年の木材市場は、外国産木材が多く流入していることから、国内の木材市場が縮小傾向にありました。しかし最近では、様々な取り組みによって国産木材の流通が徐々に増加しています。

静岡県では県産の木材流通を増やすために、県産優良木材を使用して住宅を建設する際の、資金援助の方法を改訂しました。

これまでは金融機関からの借入金の利子の一部を援助していたところ、建築資金の一定金額を援助する制度の変更しました。その結果、利用者が増え、県産木材を使用する工場も増えました。

以上のように、静岡県は業務棚卸表を作成し、各業務の目的や仕事内容を可視化したうえで、県民にとって効果のある取り組みかを評価し、必要に応じて継続的な改善を加えています。

企業もこれと同じように、明確な目標を持った上で業務棚卸表活用に取り組むことが、やはりベストでしょう。

まとめ

業務棚卸表のフォーマットは自由に作成できます。ただし、業務の大分類や中分類、小分類といったように、業務を細分化していくことで体系立ててまとめることを忘れないでください。さらに、業務棚卸表は単一のフォーマットではなく、2種以上を活用することで、業務の記載漏れなども無くなります。

BPECを用いた業務改善プロジェクトの進め方

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