ITツールの効果的な活用について

 2019.02.23  ビジネスプロセス改革推進室

ほぼすべての企業や組織で大きな課題となっている「働き方改革」ですが、みなさんはどのような取り組みを検討されているでしょうか。国会での労働基準法改正の審議などもニュースになり、やはり働き方改革は労務管理制度の改革であるととらえられている方も多いのではないでしょうか。しかし、そうした取り組みだけで現在求められている「改革」は実現できるでしょうか?

答えは論理的には「イエス」ですが、現実的には「ノー」と言えるでしょう。確かに労務管理制度の変更や意識改革によって、たとえば在宅勤務制度が採用されたとしても、ただ家にいたのでは仕事になりません。現実的にはITを活用し、自宅でも会社にいるのと同様な仕事ができないと意味がないわけです。

労務管理制度の改定だけではそれを支える仕事の基盤は整いません。さらに意識改革だけでもそれを行動に移すことは難しいでしょう。よって「IT活用なくして働き方改革なし」。今回は働き方改革を実現するためのIT活用についてご紹介します。

働き方改革の目的とは?

内閣官房が主体となって推進する働き方改革は、日本の少子高齢化や労働人口減少という社会構造の変化に対応し、経済成長を持続するための大きな取り組みです。多様な事情をもつ従業員一人ひとりに適した働き方を受け入れることで、これまでは育児や介護、その他の家庭の事情などによって退職を余儀なくされていた人たちを活用し、社会全体の労働力の維持と生産性の向上を目的とします。

一方で、企業や組織のレベルでは、より具体的なビジネス上の課題を解決するために働き方改革の旗が振られているのではないでしょうか。より優秀な人材の確保のためであったり、より少ない人数でより多くの業務量をこなさねばならなかったり、グローバル化によってより多様な人材を受け入れなければならなかったりです。

いずれにせよこれらの目的を達成するためには、単なる制度改革だけでは実現は難しいといえるでしょう。労働生産性を高めて競争優位性を確保するということと、より付加価値の高い仕事を提供することで優秀な人材を惹きつけること、これらは異なることのようで、根底ではつながっている課題です。

より効率的な業務を組立て、人は単純作業から付加価値の高い仕事にシフトしてゆくことが共通した解であり、その実現にはITの活用が必須なのです。

働き方改革を実現するIT活用とは?

ITといっても、実に多様な種類があります。ここでは働き方改革に効果のある主要なITソリューションと、それぞれの特徴をご紹介します。

ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)

ERPはビジネスに不可欠な業務アプリケーションを統合したITです。顧客管理、営業支援、財務会計、生産管理などなど、製品によって10種類以上の業務アプリケーションを統合したものもあります。

ERPを導入するメリットは「全社最適化」です。これは、相互連携の取れた業務アプリケーションがデータベースを取り囲むことで、今まで発生していた二重作業を排除したり、部門同士の連携力を高めて業務効率を高めることを意味します。

実際にERPを導入したことで大きな変革をもたらしたという事例はいくつもあるので、導入効果の高いITの一つです。

ビジネスの全体最適と、それにともなうリソースの最適化によって、より効率の良い働き方を支援します。

グループウェア

グループウェアは組織のコミュニケーション力を高めるためのITです。働き方改革の柱の一つは「場所に依存しない働き方」です。在宅勤務に代表されるように、オフィスに出社しなくても仕事ができる環境は、まさに働き方の多様性の象徴的なポイントです。どうしても物理的に離れた人同士を結び付けるのがグループウェアであり、コミュニケーションのや情報共有の機能を提供します。ビジネスメール、ファイル共有スペース、オフィスアプリケーション、チャットツール、WEB会議といった機能を中心に提供して、コミュニケーションを一手に集約し、かなり以前から浸透している領域ですが、最近ではチームコラボレーションに特化したツールなど、まだまだ進化が続いています。

また、最近ではクラウドベースのサービスが主流になってきているのとともに、セキュリティの強化機能も充実してきています。たとえばモバイルで利用するうえでの懸念事項が、端末の紛失などによる情報漏えいです。主要なグループウェアでは、デバイス管理の機能がオプションで提供され、紛失時にはリモートで端末内のデータを削除するなど、利便性とセキュリティの両立も図られています。

RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)

働き方改革のもう一つの柱が労働時間の削減というテーマでしょう。そのための注目ツールがRPA (Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)です。これは、多くの従業員が時間を割いている単純な事務処理などを、ユーザーが開発したロボットによって自動化し効率化するものです。デジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれます。ロボットといってもソフトウェアなので実体はありません。あくまでユーザーが定義した作業手順に従って、パソコン作業を自動化するものです。

RPAの特長は「低コストで高い業務効率化効果をもたらす」という点です。

導入コストは、事務処理のために人を雇用するよりは一般的にかなり安価であり、かつ休む必要もなく、またミスなく働いてくれます。新しいツールなので、使うための敷居が高く感じられるかもしれませんが、実際の使い方は製品によって異なります。

RPAは、単純作業を自動化してくれるため、人はより付加価値の高い創造性や高度な判断が必要な仕事に専念することができるようになります。これは、単純に個々の作業時間=労働時間を削減するとともに、高付加価値の仕事にシフトすることで従業員のモチベーションを高め、離職を防ぐなどの効果も期待できるのです。

ビジネスプロセス管理ツール

実際、多くの企業では様々なシステムやツールを段階的に導入しています。これにより、個別業務には最適化されていても、プロセスを横断的に見た場合には、非効率になっていることが頻繁に起こります。このような場合ビジネスプロセス管理ツールが貢献します。

例えば、アプリケーションを横断してワークフローを構築しなければならない場合は、複数のシステムをデータがバケツリレーのように連携して処理が行われている場合など、ビジネスプロセスを統合的に管理できるプラットホームを利用することでシステム化が容易にになります。

また、そもそもビジネス面で必要なプロセスなのかどうかを見直し、新たに業務全体の改善を行う場合など、システムの全面刷新は非現実的となるため、ビジネスプロセスに着目したプラットホームの利用は効果的です。

どれくらい労働生産性が向上するか?

現在、ビジネスプロセスを改善するツールを活用した生産性向上の事例は着々と増えています。たとえば大手銀行では年間8,000時間の作業量削減に成功したなど、大規模な成功事例もあります。また、こうした事例は大企業だけのものではありません。

中小企業であっても、年間1,000時間以上の作業量短縮も難しくありません。

この業務プロセスの主な内容は「貸出記録台帳から、貸出IDをコピー」「端末管理DBのステータスを「返却済み」に更新」「貸出記録台帳に返却日を記録」の3つです。従来は手作業で行っていたこれらの作業を、RPAで完全自動化することで100時間もの作業量削減に成功しました。年間にすると1,200時間の作業量削減です。

皆さんの会社では、現在どういった働き方改革に取り組んでいるでしょうか?また、それを主導しているのはどの部門でしょうか。第一義的には人事部門が労務管理規定などから検討していたりしますでしょうか。確かにそれも重要です。

まとめ

「ワークスタイル変革」「リモートワーク」など働き方改革の流れにつられて、ITツールの利用による効率化などに注目が集まっています。

ただ、本当に大切なことは、現在抱えている業務が適切なもので、正しく処理されているものなのかを把握することにあります。

業務の適正化と業務量の把握は、感覚的に行うものでなく、正しい指標を持って客観的に行わなければ、全体像をあぶりだすことはできません。

ITツールありきでシステム導入を検討するのでなく、改めて現在の業務状況について調査してみては、いかがでしょうか。

本サイトでも、業務可視化ツールとして「BPEC」をご案内しています。手軽に業務量を調査し、新たなフローの作成や改善ポイントの提案など、幅広く業務改善のためのアドバイスを受けることができます。

ぜひ、この機会に自社の業務状況調査を検討してみてはいかがでしょうか。

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